
第1回では、学校健診で「C判定」と言われたときに知っておきたいことや、まず眼科を受診
することの大切さについてご紹介しました。
今回は、その続きとして、「本人は見えていると言っているけど、本当にメガネが必要なの?」という疑問について考えてみたいと思います。
「見えているよ」と言うけれど……
学校健診で視力低下を指摘され、眼科でメガネを勧められた。
でも、お子さま本人に聞いてみると、
「ちゃんと見えてるよ」
「黒板も見えるよ」
「メガネはいらない」
そんな答えが返ってくることがあります。
普段の生活でも、それほど困っているようには見えない。
そうすると、「本当にメガネが必要なのかな?」と思うこともあるのではないでしょうか。
しかし、子どもの「見えている」と、大人が考える「よく見えている」は、必ずしも同じとは
限りません。
子どもは「今の見え方」が普通だと思っている
大人の場合、以前より遠くがぼやけるようになると、「最近、視力が落ちたかもしれない」と
気づくことができます。
これは「以前はもっと見えていた」という記憶があるからです。
一方、子どもは自分の見え方をほかの人と比べることができません。
少しぼやけていても、それが本人にとって当たり前なら、「みんなも同じように見えている」と思っていることがあります。
つまり、
「見えているよ」が、必ずしも「はっきり見えている」という意味ではない
ということです。
本人は我慢しているわけでも、嘘をついているわけでもありません。
自分の見え方しか知らないため、見えづらさそのものに気づいていないことがあるのです。

「見える」と「楽に見える」は違います
視力が低下していても、まったく何も見えなくなるわけではありません。
目を細めたり、黒板に近い席なら見えたり、少し近づいたりすれば見えることもあります。
そのため、本人は「見えている」と感じていることがあります。
しかし、
頑張れば見えることと、無理なく楽に見えること
は別です。
たとえば、
・テレビに近づいて見る
・遠くを見るときに目を細める
・黒板の文字を写すのに時間がかかる
・本やタブレットとの距離が近い
こうした行動が必ずしも視力低下を意味するわけではありません。
ただ、子どもは「見えづらい」「目が疲れる」と自分からうまく説明できないこともあります。
そのため、「見えないと言っていないから大丈夫」だけで判断せず、普段のちょっとした様子を
見てあげることも大切です。

「メガネをかけると視力が悪くなる」って本当?
大人・子どもを問わず、
「メガネをかけ始めると、もっと目が悪くなるのでは?」
「かけたり外したりすると、視力が落ちるのでは?」
というご質問をいただくことがあります。
基本的に、適切な度数のメガネをかけること自体が原因で視力が悪くなるわけではありません。
では、なぜ「メガネをかけたら目が悪くなった」と感じることがあるのでしょうか。
理由のひとつとして、メガネをかけたときのはっきりした見え方を知ることで、外したときの
ぼやけを以前より強く感じるようになることがあります。
メガネをかける前は、ぼやけた状態が「いつもの見え方」だったのに、はっきり見える状態を
知ることで、「前より見えなくなった気がする」と感じることがあるのです。
また、メガネをかけたり外したりすること自体が、視力低下の原因になるわけでもありません。
ただし、
「授業中など遠くを見るときにかける」
「必要な場面で使う」
「基本的に常用する」
など、適した使い方は目の状態によって異なります。
特に子どもの場合は、自己判断で使用方法を決めず、眼科で指示された使い方を守ることが
大切です。
メガネが必要かどうかは「視力の数字」だけでは決まりません。
「視力がどのくらいになったらメガネが必要ですか?」これもよくある疑問です。
しかし、「0.5になったら必ずメガネ」「0.7見えていれば必要ない」というように、視力の数字
だけで一律に決めることはできません。
近視・遠視・乱視の状態や左右の目の差、年齢、生活環境などによって、メガネが必要な理由は一人ひとり違います。
だからこそ、学校健診の結果だけで判断するのではなく、眼科で目の状態を確認してもらうことが大切です。
そしてメガネが必要と判断された場合には、その子に合った使い方で見え方を
補ってあげましょう。

まとめ
子どもが「見えているよ」と言っていると、「それなら大丈夫なのかな」と思うかもしれません。
しかし、子どもにとっては、今自分が見ている世界が「普通」です。
見えづらさがあっても、そのこと自体に気づいていない場合があります。
だからこそ、本人の言葉だけで判断するのではなく、学校健診や眼科での検査、そして普段の
ちょっとした様子も含めて見ていくことが大切です。
メガネは、目を悪くするものではありません。
その子が毎日の生活の中で、必要なものを無理なく見るための大切な道具です。
もし眼科でメガネが必要と判断されたときには、「まだ見えているから」と心配しすぎず、
その子に合った見え方を一緒に考えてあげてください。
